テレワーク導入の視点
新型コロナの影響で「テレワーク(リモートワーク)」を導入・実施する企業、人が増えています。
テレワークとは、今更ですが、「場所を特定せずに、モバイルのデバイス等を活用して仕事をする働き方」と言え、当然仕事をする場所には自宅も含まれることになります。つまり在宅勤務はテレワークの一部ということになります。
総務省が行った「平成30年通信利用動向調査」(2019年10月〜12月実施)の結果では、テレワーク導入企業の割合は有効回答企業(2,119社)中の約20%でしたが、 厚生労働省が3月31日~4月1日にLINEにて実施した第1回「新型コロナ対策のための全国調査」の結果では、テレワークをしていると回答した人の割合は僅か5.6%でした。
恐らくその後の状況から、もう少しテレワークをしている人の割合は増加していると思われますが、20%という総務省の調査結果ほどに実態としては活用していないということでしょう。つまり、会社の制度としてテレワークはできるということにはなっているが、実態として、社内の別のルールや慣習、カルチャーのために、結果として、テレワークができる可能性の高い職種や人でも、出社せざるを得ない実態があるということではないでしょうか。また、そもそも20%というのも決して高い水準とは言えません。もちろん日本独特の構造的な問題もあると思いますが、率直に言えば、経営者や管理職の「怠慢」と言わざるを得ない部分もあるのではないでしょうか?「できない」「やらない」からではなく、「どうしたらできるだろう?」「実施するためにはどうしたら良いだろうか?」から議論を始めないと何事も前に進みません。
数年前になりますが、私が事業会社で人事責任者をやっている時に、トップにテレワークの導入を具申したことがありました。(私はそれ以前の会社でテレワークの導入経験があり、そのメリットとデメリットを理解していました)当時導入目的を「生産性の向上」や「女性活躍推進」、「BCP」の観点に置いていましたが、結果として私の提案は却下されました。却下の理由は、「セキュリティ」の問題や、「前例がなく、効果が読めない」、「テレワークできない職種があるのに、一部の職種だけテレワークにするのはズルい」的なパラダイムにありました。少しの投資とパラダイム転換さえあれば克服できない話ではなかったと思いますが、当時それは叶いませんでした。私の働きかけが不十分であったとも反省するところです。
あれから数年経過し、現下の状況は緊迫しています。もしまだ導入・実施されていない企業があれば、是非以下の視点をもって早急に導入を検討いただきたいと思います。「アフターコロナ」の世界では、テレワークは当たり前の働き方になることも忘れてはいけません。
- 導入・実施することを決める。(最初に決める)
- 「どうしたらできるだろう?」で考える。
- 「できる職種」「できる人」から始める。
- 必ず「メリット」と「デメリット」の両方があるが、「メリット」にフォーカスする。
- 「デメリット」は走りながら改善する。(最初から完璧な運用を求めない)
- 一時的なものとは考えず、アフターコロナで継続することを前提として考える。企業文化に浸透させていく。(ただしこれは走りながら考える)
- 導入・実施、運営で分からないことは専門家に相談する。
本日は以上となりますが、明日以降で「テレワーク時の人材マネジメントのポイント」についても記載したいと思います。
2020年4月14日 代表 笹谷 浩二