人事評価制度を導入すれば会社業績はアップするか?
最近「人事評価制度を導入すれば会社業績がアップする」との主旨のキャッチフレーズで大々的に売り出している人事コンサルティング会社があるようですが、これは「正しい」のでしょうか? そんなご質問をいただいたことがあります。
結論からすれば、私の回答は「Yes」となります。その理由は、「適切な」人事評価制度を導入することで、以下のような効果が期待できるからです。
1)会社と社員のベクトルを合わせる
2)公正な処遇を実現する
3)人材を育成する
人事評価制度と3つ目の「人材を育成する」が繋がらない方もいらっしゃるかもしれませんが、適切な人事評価制度を導入することで、目標達成に向けた行動と、その結果のフィードバックを通じ、個々人の強みと弱みを把握して今後の成長に活かすことができます。つまり、人材を育成することに繋がるのです。そして更に言えば、評価する側(評価者)の育成にもなります。人事評価制度は、評価そのものと言うよりも「人材育成」にフォーカスすべきと言って良いでしょう。そしてその結果として会社業績もアップするのです。
しかしながら、上記のような成果・効果を得るためには、単に制度を導入しただけでは十分ではありません。では何が必要となるのか?具体的には主に以下の2点が考えられます。
1)正しい制度運用
まず必要となるのは、導入した制度を正しく運用することです。私はよく、「制度の構築・導入」と、「その運用」の重要さの割合を3:7、または2:8と申し上げるのですが、いずれにしても制度構築・導入よりもその運用の方が重要であることは確かです。どんなに理屈の通った、しっかりとした内容の制度を作っても、正しい運用ができなければ、その理屈はねじ曲がり、当初見込んだ成果・効果は得られないこととなります。
得てして制度導入後には、当初予定していなかったケースが発生して、それに対してどう評価基準を当てはめるのか?、評価者による評価の甘辛をどう調整するのか? 制度上救えない個別事情にどう対処するのか? など問題・課題が必ず発生しますが、そうした場合は、制度構築時の基本の考え方・主旨に立ち返り、有識の関係者で協議をして対応するなど、なし崩し的な運用とならないよう注意が必要です。そうした活動を何度か繰り返すうちに、制度が正しい形で定着することで、当初見込んだ成果・効果が現れて来ることでしょう。
よって、人事評価制度構築・導入を外部のコンサルタントを使って実施する場合は、その運用までの適切なサポートができるコンサルタントに依頼する必要があると言えます。
2)日常の上司部下間の信頼関係の強化
次に、こちらは更に重要なポイントとなりますが、制度に頼り過ぎることなく、日常の上司部下間の信頼関係の強化が大事ということが挙げられます。
時々、制度の中で、上司部下の面談については年2回または年4回、各30分程度等の定めをすると、決められた面談の回数・時間しか、部下とじっくりと対話する機会を設けない上司の方がいらっしゃいます。忙しいことは十分理解するところですが、それだけではなかなか部下のとの信頼関係を強化していくことは難しいでしょう。そもそも上司部下間に一定レベルの信頼関係がなくては、制度は全く機能しなくなってしまいます。上司は、評価面談以外のタイミングでも小まめに部下との対話を行い、日常的に信頼関係の強化に努めることが何にも増して重要であり、それが制度の成果・効果の最大化に繋がることになります。
本日は「人事評価制度を導入すれば会社業績がアップするか?」についてでした。
回答としては「Yes」ただし注意事項ありとのことで、本日は以上です。