社員のモチベーションをアップさせるには?

本日は「モチベーション」について。
人のモチベーションは心や感情に関する事柄でもあり、なかなかに微妙です。が、社員のモチベーションは、経営者の皆様にとって、そして人事にとっても大変重要であり、また関心の高いテーマでもあると思いますので、GWでモチベーションアップされている方も多いであろうこの時期に(もちろんそうでない方もいらっしゃると思いますが)、このテーマを取り上げたいと思います。

1)モチベーションとは何か?

そもそも「モチベーション」とは何か?色々と難しく解説される場合もありますが、簡単に言えば「動機」「動機付け」「やる気」「意欲」のことです。つまり「モチベーションがアップする」と言えば「やる気が出る」「意欲が湧く」ことであり、「モチベーションがダウンする」と言えば「やる気が萎える」ということになります。

2)モチベーションがアップする時、ダウンする時

では人はどのような時にモチベーションがアップし、またダウンするのでしょうか? 

モチベーションをアップさせるためには、まず一つ目に、外部から報酬を与えることと、二つ目に、仕事などに取り組む中で、充実感や達成感を感じて自己目的的にモチベーションをアップさせることの2通りがあり、前者によって高まる意欲は「外発的モチベーション」、後者によって高まる意欲のことは「内発的モチベーション」と言われます。

ではこの「内発的モチベーション」と「外発的モチベーション」でよりレベルが高く、持続性があるモチベーションはどちらかと言うと、それは「内発的モチベーション」となります。「内発的モチベーション」によって行動している時の方が、「外発的モチベーション」で行動している時より良い結果を出すことが知られているそうです。

しかし、このせっかくの「内発的モチベーション」ですが、ちょっとした外的な刺激によってトーンダウンしてしまうことがあります。学生時代「さあ勉強としよう!」思ったその時に、親から「勉強しなさい!」と言われると、急にやる気が萎えてしまったという経験はないでしょうか? まさにその状況は、「内発的モチベーション」が外的刺激によってトーンダウンした例と言えるでしょう。

また少々ややこしいのが、「内発的モチベーション」で意欲を持って行動している人に、「外発的モチベーション」である報酬を与えると、せっかくの「内発的モチベーション」が「外発的モチベーション」にトーンダウンしてしまうというのです。これは例えば、充実感や使命感を持って仕事をしていた社員に対して、「期末にインセンティブを出すから頑張れ!」といったことを言ってしまうと、却ってモチベーションのレベルを下げてしまうことがあるということです。これを「アンダーマイニング現象」と言うのだそうですが、なるほど、私も過去に、経営者が年頭に発信した「期末にインセンティブを出すので、業績目標達成に向けて頑張れ!」との主旨のメッセージを見て、急に白けた、打算的な気持ちを感じた経験があることを思い出しましたが、それこそが「アンダーマイニング現象」だったのでしょう。

3)社員のモチベーションをアップさせるには?

先に挙げた事例で、インセンティブの付与自体が良くないと言っている訳ではありませんので、その点は勘違いしないでいただきたいと思います。注意が必要なのは、充実感や使命感を持って仕事をしている社員に、「途中で」インセンティブを与えることをもって叱咤激励するようなことは、却ってモチベーションのレベルを下げてしまう可能性があるということであり、経営者の皆様は、そうした可能性を認識した上で、メッセージを出すタイミング、対象や内容を工夫する必要があるということです。

また、「内発的モチベーション」は、自分の意志で決めて取り組んだ場合に、より高くなることが知られています。やらされ感が強いとモチベーションが上がらないことは、誰にとっても同じだと思います。究極を言えば、質の高いモチベーションとは、外から与えられるものでなく、目の前の仕事に没頭し、自ら発案、創意工夫しながら仕事を進めて行く中で、充実感や達成感を感じていると、自身の中から湧き上がって来るものなのだと言うことです。

つまり、経営者の皆さんが社員の皆さんにモチベーション高く仕事に取り組んでほしいと思われる場合にまず取り組むことは、社員の皆さんに高い目標を設定してもらい、自ら発案、創意工夫できる裁量を与え、仕事に没頭できる環境を提供することであると言えます。そう、これは多分に日常のマネジメントの問題となることが理解できるとともに、所謂マイクロマネジメントが質の高いモチベーションの最大の敵となることが分かります。

4)個人目線でのモチベーション

最後に、個人からの目線でのモチベーションについて、「絶対達成」で著名なアタックス・セールス・アソシエイツの横山信弘氏は、そのコラムの中で、以下のような見解を述べておられます。大変興味深いコラムですので、ここに一部を抜粋して引用させていただきます。

***以下抜粋引用***
「モチベーションをアップしたいのだが、なかなか上がらない」という人は、「モチベーションをアップするモチベーション」が引っ掛かってくるのです。これをどうにかしなければなりません。しかし、もしも「モチベーションアップするモチベーションを向上させる方法」が存在したとしても、その方法を探したり、探し当てて試し、モチベーションアップするモチベーションが向上するまで継続するための「モチベーション」が必要になってくる気がします。したがって、その場合は「モチベーションアップするモチベーションを向上させるモチベーションを上げる方法」が必要になってくるでしょう。つまり、堂々巡りなのです。モチベーションをアップしたいと年がら年中思っている人は袋小路に入っているのです。なぜなら、モチベーションをアップさせるためには、モチベーションが必要だからです。お金を増やすためには、お金が必要なのです。さらにお金を増やすためには、さらにお金が必要なのです。潤沢な資金を持っている人がお金を増やしていきます。素晴らしい人脈がある人が、より素晴らしい人脈を形成できるのです。何事も最初はゼロからのスタート。何もないところから何かを得たいのであるなら、一所懸命、がむしゃらになって頑張るしかないのです。内的動機付けなど、どうでもいいのです。どんな動機だろうが関係ありません。やればいいのです。動きはじめるのです。そうすることで、何もなかったはずの場所に火種ができます。小さな火種がモチベーションとなって、さらに大きな火を起こしてくれます。「モチベーション難民」になるのはもうやめましょう。モチベーションという7文字のカタカナを頭に思い浮かべている暇があったら、「やれ」という2文字の平仮名に置換しましょう。それでいいのです。それだけでいろいろな問題が解決することでしょう。

本日は「社員のモチベーションをアップさせるには?」と題して記載いたしました。社員のモチベーションに懸念を感じておられたら、是非ご一報ください。報酬の議論もさることながら、その前に、マネジメントについての検証・診断をさせていただきます。

 

2018年4月29日
シナジー&エフェクト
人事・人材開発事業担当代表

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