強くしなやかなリーダーを育成する（1）

前回リーダーシップについての記事「リーダーシップとは？」を投稿しましたが、リーダーの育成とリーダーシップ開発は、企業が継続的に成果を上げるための最も重要なファクターの一つであり、当社のコンサルティングの要と考えていますので、このテーマを更に掘り下げて行きたいと思います。題して「強くしなやかなリーダーを育成する（1）」。ランダムなシリーズものとします。

世には五万とリーダーシップに関する考え方や書籍があり、それぞれが互いに影響を及ぼし合っていますし、私共も多くのリーダー論やリーダーシップ論を学ばせていただいていますが、リーダーシップは、目に見えないものであり、またシチュエーション等によっても変化・発展させるべきものであるが故に、完成形はなく、絶対的な正解がないものとも言えます。

しかしながら近年この分野での研究も進み、また変化の激しい時代にあって、リーダーの育成とリーダーシップ開発の重要性が益々高まっている中で、優れたリーダーが備えるべき要素・コンピテンシーや、リーダーシップのあり方、また備えるべきスキルがかなり具体的に論ぜられるようになってきていますので、このテーマについてはそうした内容も踏まえて記載して行きたいと思います。

前置きが長くなりましたが、本日取り上げるのは、前回の記事「リーダーシップとは？」で「リーダーシップ開発（強化）のポイント」にも挙げた「人の長所に着目しそれを活かす」ための取組みについてです。なおリーダーシップは全ての人・社員に求められるものですが、ここでは、特に組織責任者等のリーダーをイメージして記載することとします。

 

1）なぜ人の長所に着目することがリーダーにとって重要なのか？
この答えは至ってシンプルです。リーダーはフォロワーがいてこそのリーダーであり、フォロワーの立場からすれば、短所に着目するリーダーより、長所に着目するリーダーの方をフォローしたくなるからです。
また、「短所に着目し、それを改善する、させる」ためには、「長所に着目し、それを伸ばす」よりも遥かに大きなエネルギーを要することは容易に想像できることであり、端的に言えば、短所に着目しての改善行為は極めて生産性が低いと言えるのです。

単純過ぎるモデルではありますが、仮に長所が「＋5」、短所が「–5」の人がいるとして、この人が「＋10」になることを考えますと、長所にだけに着目し短所を無視できれば、あと「＋5」すれば「＋10」になります。しかし仮に短所にだけに着目し長所を無視してしまうと「＋10」にするにはあと「＋15」必要になる訳です。もちろん現実的には完全に短所を無視する訳にはいかないでしょう。しかしながら、短所が「–5」あるのであれば、改善必須な「–2」だけに着目して「–3」は捨てる、無視する。といったことは意識と努力でできるのではないでしょうか。その場合このモデルにおいてはあと「＋7」で済むことになる訳です。

 

2）人の長所に着目するために
しかしながら、人の長所に着目することは意外に難しいものです。どうしても短所にばかり目が行ってしまうというリーダーの方も多いのではないでしょうか？これは思考の癖・習慣でもありますので、もし、なかなか難しいという場合は、こんな方法を試してみてはいかがでしょうか？

ある特定の人をウォッチして、その人の行った良い言動や長所と思われることを、毎日1つメモすることを3週間続けてみるのです。（もちろん2つでも3つでも良いのですが、最低1つは必ず）そうすることで他人の良い言動や長所に着目するセンサーが活性化し、そうした見方が習慣化されていくことでしょう。なお3週間とは、物事を21日間続けることができれば習慣化できる可能性が高まるという説に基づいています。

なおその際、良い言動や長所の基準をあまり高く設定しないことがコツになります。リーダーの中には、無意識のうちに、自分にも他人にも、非常に高い基準を当てて、その基準をクリアしない場合は全てNGとしてしまう方がいらっしゃいますが、そのような場合は、まず自分自身の基準を自覚して、その妥当性を客観的に検証してみる必要があるでしょう。

 

3）人の長所を活かすために
人の長所に着目できるようになることで、本当の意味で、その長所を活かす役割について考えることが可能となります。ただ一方で、フォロワーの長所を活かせない役割は排除した方が良いのか？と問われると、現実的には、限られたリソースの中で、そうすることは不可能なことと言えるでしょう。ただ、やはり長所と考えられる性質を活かせる役割をより多く担ってもらうよう最大限配慮することが、「適材適所」を実現する上で重要なポイントになると考えられます。リーダーはフォロワーの長所を的確に捉え、その長所を活かす役割について真剣に考慮し、アサインする責任を担ってると言えます。

 

シナジー＆エフェクトでは、オリジナルの「リーダーシップ開発プログラム」を実施いたします。リーダーシップ開発に真剣に取り組もうとされている経営者の方、人事責任者の方は是非ご連絡ください。

 

2018年2月26日
シナジー＆エフェクト
人事・人材開発・組織開発事業担当代表