シナジー(Synergy)

当社の社名の一部にもなっている「シナジー」。私はこの「シナジー」という言葉に無限の可能性を感じ、この言葉が好きで、この言葉を聞くと、新たなものとの出会いを感じ、なんともワクワクするのです。だから、起業する際にはこの「シナジー」に関連したワードを社名に使いたいと思っていました。そしてその思いは、「シナジー&エフェクト」という社名として実現しました。

「シナジー」は、ビジネスはもちろん、それ以外の領域のことも含めて、それらの発展に欠かせない要素・プロセスであると思いますし、広くそう認知されていると認識していますが、しかしながら、抽象的で捉えどころがないものであるとも思います。今回はこの「シナジー」について取り上げる最初の記事ということで、まずは「シナジー」についての概論を、1)シナジーの概念、2)シナジーの事例、3)シナジーが生まれるために必要となる要素とプロセス、4)シナジーを意図的に創出することは可能か? の4点で記したいと思います。

 

1)シナジーの概念
ウィキペディアで「シナジー」を検索しますと、以下の様な説明が付されています。
「相乗効果(そうじょうこうか、シナジー、英: synergy)とは、ある要素が他の要素と合わさる事によって単体で得られる以上の結果を上げること。反義語は相殺、中和。相乗効果により、全体の最適化、効率化が発揮される。自然、経済、社会、など様々な分野で、この効果は測される。主によい意味として使われる為、事故や災害では使われることはない。」

特に前半に記載されていることが重要と考えていますが、シナジーの概念とは、まさに、1+1=2以上、単なる足し算ではなく、そこに付加価値が生まれ、結果や成果が3にも、4にも、10や100にもなることであり、更に言えば、単に量や数だけが増えるのではなく、質的な変容も伴うものです。そして、複数の当事者の、本当に得たいことを得、成し遂げたいことを達成するために必要となる要素・プロセスであり、シナジーを生むことで得られた結果や成果は、決して当事者の妥協の産物ではなく、時にイノベーションと言えるものになります。

しかしこのシナジー、概念としては理解できるものの、現実的には、そう簡単に生み出せるものではないことは、シナジーの創出を目的として実行される企業同士の合弁事業や合併が上手く行かず、時に破談や解消と行った結果になったり、あくまで1+1=2の状態のまま付加価値を生んでいなかったり、1.9や1.8といった状態で停滞したりと、客観的に見て、何のための合弁事業や合併であったのかが良く分からない事例が多数ある点を考えれば、容易に想像ができると思います。

 

2)シナジーの事例
一方で、以下に挙げるような(企業やビジネスに関連した事例のみに絞った、その極々一部の例ですが)、シナジーが創出され、大きな成果に結びついている例が数多くあることも事実です。

①私達の身近にあるコンビニエンス・ストアが、銀行や郵便、チケット販売所、保安、の機能を取り込み、更には災害時のライフラインや、高齢世帯のケアまで期待される「社会インフラ」とも言える役割を担おうとしている例
②某企業で、営業部門とマーケティング部門がお互いの立場を超えて協力し、より顧客本位の活動を展開して大きな成果を上げるに到った例
③某企業で、開発部門と製造部門と更にはメンテナンス部門が協働して、組立て易く、分解し易い製品を設計・開発し、製品のライフサイクルトータルでのコストを低減した、環境にも優しいヒット商品を生み出した例
④某企業で、人事部門と広報部門が協力し、社内向けのブランディング活動を展開したことで、離職が飛躍的に減少した例
⑤某企業で、顧客からのクレームを、部署を超えた取り組みによって、新しい商品開発に繋げた例  等々

 

3)シナジーが生まれるために必要となる要素とプロセス
では、シナジーが生まれるために必要となる要素とプロセスにはどのようなものがあるのでしょうか? この点については詳細を述べると内容が膨大になりますので、今回の記事だけでなく、今後本記事の続編でも触れたいと思いますが、ポイントのみを挙げますと、以下のようになると考えます。

ステージ①:
まず多様性がある。(同質のもの同士からシナジーは生まれない)
ステージ②:
多様である(同質でない)が故に対立がある。(この対立は必ずあり、避けられない)
ステージ③:
当事者が、対立する相手の立場、考え方に耳を傾け、それを真に理解する。(そのためには、傾聴のスキルと高度な忍耐力を要する)
ステージ④:
当事者が、対立しているポイントを超えて、ミッションをベースとしつつ、一段高度な(ポイントの背後や水面下にある)、お互いが得たい、達成したい「コア」を発見し、共有する。(そのためには、対立を超えて、素直でオープンなマインドに至っている必要がある)
ステージ⑤:
発見した「コア」を得る、達成するための施策を改めて立案し、実行する。(改めて作成した施策案は、当初の施策案とは全く異なるものになっている可能性がある)

先にシナジーの創出に失敗する合弁事業や合併について触れましたが、そのような失敗のケースでは、上記のステージ②で停滞してしまい、ステージ③から先に進めなかったものと考えられます。

 

4)シナジーを意図的に創出することは可能か?
前項を踏まえ、最後に、シナジーを意図的に創出することは可能か?について触れたいと思います。
結論からすれば、シナジーの意図的創出は、前述の要素とプロセスを様々な取り組みによってクリアすることで「可能」であると考えますが、簡単ではない場合が往々にしてあると言えます。何故なら、シナジー創出のためには、対立を超えて新しいステージに至ることが必要であり、そのためには、当事者の多様性受容力、忍耐力や献身、誠実さといった、つまりは人格の成長が同時に必要になるからです。だからこそ、シナジーを意図的に創出するためには「人材育成」と「環境整備」の両方にバランス良く取り組んでいくことが求められるのです。

 

2018年2月5日
シナジー&エフェクト
人事・人材開発・組織開発事業担当代表

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