働き方改革関連法案の動向
2018年4月6日、政府は働き方改革関連法案を閣議決定しました。法案に含まれる「高度プロフェッショナル制度」の設置に反対する野党は対決姿勢を強めており、与党が目指す今国会期末(6月20日)までに法案が成立するかは不透明な状況ですが、中小企業の経営者や人事担当者はもちろん、その他の労働者の働き方に先々大きく関わって来る内容ですので、法案の概要を以下に記載しておきたいと思います。なお、不正データの使用が問題になりました裁量労働制に関する法案の提出は見送られました。
詳しくは 厚生労働省のHP に資料が掲載されていますが、特に重要な内容については今後本ブログでも取り上げて参ります。
◎法案の概要
I.長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等 | |
1.労働時間に関する制度の見直し | |
(1)長時間労働の是正 | |
①時間外労働の上限規制 →時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定 |
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②中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し →月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止 |
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③一定日数の年次有給休暇の確実な取得 →使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならない |
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(2)多様で柔軟な働き方の実現 | |
①フレックスタイム制の見直し →フレックスタイム制の「清算期間」の上限を1か月から3か月に延長 |
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②「高度プロフェッショナル制度」の創設 →職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1,000万円以上)を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、年間104日の休日を確実に取得させること等の健康確保措置を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、 労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする |
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2.勤務間インターバル制度の普及促進 | |
→事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならない | |
3.産業医・産業保健機能の強化 | |
(施行日) 1-(1)-①について、中小企業は2020年4月 1-(1)-②については、2023年4月 その他は2019年4月 |
II.雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保 *所謂「同一労働同一賃金」の実現 | |
1.不合理な待遇差を解消するための規定の整備 | |
→短時間・有期雇用労働者に関する正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・ 目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化 | |
→有期雇用労働者について、正規雇用労働者と1職務内容、2職務内容・配置の変更範囲が同一である場合の均等待遇の 確保を義務化 | |
→派遣労働者について、1派遣先の労働者との均等・均衡待遇、2一定の要件(同種業務の一般の労働者の平均的な賃金と 同等以上の賃金であること等)を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化 | |
2.労働者に対する待遇に関する説明義務の強化 | |
→短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化 | |
(施行日) 中小企業におけるパートタイム労働法・労働契約法の改正規定の適用は2021年4月 その他は2020年4月 |
2018年4月10日
シナジー&エフェクト
人事・人材開発事業担当代表