フィードバック実践のポイント

本日は、「フィードバック実践のポイント」について。

仕事柄、上司(マネージャー)の方から部下の指導方法についてご相談をいただくことがありますが、そのようなご相談をいただいた場合は、「どのようなフィードバックをされているのか?」についてお聞きするようにしています。なぜなら、私の認識する所、優れた上司(マネージャー)と言われる方々は、ほぼ例外なく、的確なフィードバックをもって部下指導を行なっているからです。

1)フィードバックとは?

フィードバックとは、元々は、制御工学の用語で、入力と出力のあるシステムで、出力された結果を入力側に戻して出力を制御することを言うのだそうです。

また航空管制官が、飛行機に対して、正しい航路(軌道)上にあるのか、航路(軌道)から外れているのかを指摘する行為をフィードバックと言いますが、人材マネジメント的には、まさにこの航空管制官が行うような、「今行なっている行動が正しく行われているのか?」について、正しければ、「正しいよ」と伝え、正しくなければ「正しくないので、正しい行動に修正して」と伝えることがフィードバックとなります。フィードバックはまさに「指導」そのものと言えるのです。

2)フィードバック実施のポイント

では、フィードバック実施のポイントとは? 以下の点が挙げられます。

なお当然ながら、フィードバックには正しい行為・行動に対する「ポジティブ・フィードバック」と、正しくない行為・行動に対する「ネガティブ・フィードバック」がありますが、以下はその両方に共通するポイントになります。

①まず相手を尊重する。
②「褒める」「叱る」ではない。
③具体的な行為・行動に対して行う。
④事実に基づき行う。
⑤出来るだけ早いタイミングで行う。

②は非常に重要で、残念ながら、日本人は「褒める」ことが下手な方が多く、褒めることにストレスや違和感を感じる方も依然多数と理解していますし、また「叱る」のは叱る方にとってもストレスになりますので、フィードバックが「『褒める』や『叱る』ではない。」というのは、上司(マネージャー)の方の心を少なからず軽くしてくれるのではないでしょうか。(もちろん、TPOに合わせて上手に「褒める」「叱る」を織り交ぜることができれば、それに越したことはありませんが)

3)フィードバックの事例

では、「ポジティブ・フィードバック」「ネガティブ・フィードバック」、それぞれについてのシンプルな事例をご紹介します。

【ポジティブ・フィードバックの例】
部下が作成した調査報告書の内容が的確だったケースであれば、
「作成してもらった調査報告書ですが、市場分析が的確で大変良かったです。」
「事業部長会議でも使わせてもらいましたが、役員の関心も高く、**さんに作成してもらったことを伝えておきました。」
といった具合です。

【ネガティブ・フィードバックの例】
上司(マネージャー)が1週間前に依頼した報告書が、期限までに提出されず、また期限までに提出できないことについての報告がなかったケースであれば、
「1週間前に依頼した報告書ですが、期限としていた昨日まで提出してもらっていません。期限が遅れる報告もありませんでしたが、何か問題がありましたか?」
と事実をフィードバックし、その後、解決策については、上司から与えるのではなく、部下の話を良く聴きつつ、部下自身に考えてもらうようにします。

また、もし上記のフィードバックでも改善されないケースでは、
「以前、期限を守ることと、提出が遅れる場合は事前に報告するようお願いしていましたが、改善されていません。」と事実をフィードバックし、その後解決策については、やはり可能な限り、部下自身に考えてもらうのが良いでしょう。

ネガティブ・フィードバックの際は、どうしても解決策を上司から指示してしまいたくなりますが、そこをグッとこらえて、部下自身に解決策を考えてもらうよう話ができれば、部下の主体性や問題解決能力を高めることにも繋がり、より長期的な視点で有効です。

適切なフィードバックを行うことは、部下を「承認」していることでもあり、部下のモチベーションを高めることにもなりますので、是非実践してみてください。

そうそう、先日、大学時代の友人から、「最近全然ブログ更新してないな。」とフィードバックをいただき、私のモチベーションも高まりました!

本日は「フィードバック実践のポイント」についてでした。

笹谷 浩二

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